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2009.07.02 (Thu)

新聞の切り抜き記事

最近はユーロがとても高くなり、財布の口を締めることが多くなりました。しかし、古書店を訪問してクラシック音楽関連の本を見ていると、どうしても衝動買いをしてしまいます。誘惑には勝てません。

注意深く見てみると、古書店の本の中には様々なものが挟み込まれていることがわかります。しおり、ハガキ、ポートレート、新聞の切り抜き記事、等々(さすがに、お金は見たことがありません)。私はとりわけ新聞記事を見つけると、とても幸福な気持ちになります。大抵の場合、そうした新聞記事は入っていた書籍と関連した内容なのですが、その書籍以上に興味深い(と思われる)ものが多々あるからです。

私が最近入手した新聞の切り抜き記事には次のようなものがあります。もちろんコピーではなく、すべてオリジナルです。


1. 外科医カール・ルートヴィヒ・シュライヒによるニキシュ追悼記事(1922年1月下旬頃)
2. フルトヴェングラーの歴史的復帰コンサート批評(1947年5月下旬頃)
3. バリトン歌手、ハインリヒ・シュルスヌスの死亡記事(1952年6月19日)
4. フルトヴェングラーの死亡記事(おそらく1954年12月1日)
5. W・シュトレーゼマンによるカラヤン回顧記事(1991年6月頃)


ちなみに、1の外科医カール・ルートヴィヒ・シュライヒというのは、局所麻酔を発明したことで有名な人物です。著作権という壁がありますので、これらの記事を簡単に公開できないのは本当に残念です。前述のとおり切り抜き記事のため、新聞社名や日付のはっきりしないものがほとんどです。それらが二つともきちんと手書きで明記されていたのは3のみでした。そこで現在、出版元の"DER TAGESSPIEGEL"紙に、この記事の翻訳等の許可につきまして問い合わせを行っているのですが、今のところまだ返事は来ておりません。著作権料など、条件的に難しい面があるでしょうが、トライする価値は十分にあると思います。許可がおり、公開できるようになれば、それはそれで意義のあることに違いありません。

今後、何か進展がありましたら、またブログに書かせていただきます。

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2009.06.25 (Thu)

場所によって、かくも異なる弦楽器の響き!

私は仕事柄パソコンに向かっていることが多いため、目がとても疲れます。そこで、「ちょっと気分転換でも」程度のノリで最近、足を運んだのが次の三つのコンサートです。

1. ユリア・フィッシャー Vn リサイタル
  3月18日 フィルハーモニー室内楽ホール
  座席:Block H(舞台の反対側の一番安い席)
2. ヒラリー・ハーン Vn リサイタル
  3月23日 フィルハーモニー大ホール
  座席:Block E(舞台正面の、いわゆる「かぶりつき席」。右側後方でした。)
3. スペクトラム・コンサーツ・ベルリン(Vn:ジャニーヌ・ヤンセン 他)
  6月24日 フィルハーモニー室内楽ホール
  座席:Block F(ヴァイオリン奏者の背中がよく見える、舞台に向かって左側後方の席)

3人共、いずれ劣らぬ若手女流ヴァイオリニストです。しかし今回書きたいのは、その美貌に関してではなく、弦楽器(とりわけヴァイオリン)のホールでの響きに関すること。何れの演奏会でも演奏を聴いているうちに、その内容の濃さに圧倒され、気分転換どころの話ではなくなってしまいました。

舞台の反対側の席で聴いたユリア・フィッシャーのリサイタルは、あまり楽しめませんでした。どことなく音が暗くこもったような感じで、全く輝きがなかったのです。これが最近、バッハの協奏曲のCDをリリースして絶好調のフィッシャー?という気持ちだったのですが、この時はまだ、場所が原因であるとは夢にも思っていない鈍感な私。

フィルハーモニー大ホールにおけるヒラリー・ハーンの リサイタル。この時は、しがない翻訳者の私に幸運の女神が舞い降りまして、かぶりつきの席で見ることができました(その経緯はヒミツです)。メリハリ、輝き、そして充実度。音の面ではフィッシャーの時とは全く状況が異なっていました。それこそ音が顔に向かって一直線に飛んで来る、とでも言いましょうか。実は私はこれまで「かぶりつきの高額席=音が良い」という単純な図式を、それほど信用していなかったのです。むしろ、信用したくても出来なかったという方が当たっています。と言いますのも、私はコンサートのチケットを買う時は、いつも一番安いものを購入していたからです。

そして、ヴァイオリンのジャニーヌ・ヤンセンを中心とした室内アンサンブル・グループのスペクトラム・コンサーツ・ベルリン。ヤンセンのちょうど後方にあたる席で聴いていた時は、「ヤンセンは何て線の細いヴァイオリニストなんだろう」と思っていました。後半の曲目、ブラームスの弦楽六重奏曲第1番変ロ長調が終わると、私は舞台正面の方へ移動し、拍手をしておりました。すると、どうやらアンコールが演奏される様子。同曲の第3楽章スケルツォでした。これを聴いて、ヒラリー・ハーンの時と同様、あまりの音の違いに愕然としました。ヤンセンは線の細い演奏家ではなく、むしろ骨太な演奏をする人であり、男性奏者にひけをとらない位に音(それにオーラ)を出していました。

一口に音の違いと言いましても、ホールの良し悪しだけではなく、使用している楽器によっても大きく異なります。ストラディヴァリのような名器であれば例えば、音が通りやすい、といった特徴はよく言及されているのではないかと思います。そこで、この3人の使用楽器を調べてみました。


ユリア・フィッシャー
  ジョヴァンニ・バティスタ・ガダニーニ(1742年製)
ヒラリー・ハーン
  ジャン=バプティスト・ヴィヨーム(1864年製)
ジャニーヌ・ヤンセン
  アントニオ・ストラディヴァリ「バレーレ」(1727年製)


ハ〜とため息が出てきそうです。3挺でいったいいくらすることやら!

旅行でベルリンに来てコンサートを楽しみたいという方には、大枚をはたいてでも特等席でご覧になることをお勧めします。それだけの価値は十分にありますよ。

(参考ウェブサイト)
"Julia Fischer"
   (http://www.juliafischer.com:8080/person.jsp?lang=de&nav03=bio, 2009.6.25)
"Deutsche Grammophon"
   (http://www2.deutschegrammophon.com/artist/biography?ART_ID=HAHHI, 2009.6.25)
"Janine Jansen Official Website"
   (http://www.janinejansen.com/biography.htm#de, 2009.6.25)

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2009.06.23 (Tue)

ああ、やっぱり…のヴァルトビューネ野外コンサート

6月21日。ベルリン・フィルのシーズン最後の演奏会、ヴァルトビューネ野外コンサートへ行ってきました。ベルリンは、ここ2ヶ月ほどは異常気象ではないかと思うほどよく雨が降ります。晴れていても、すぐに天候が急変し、大雨になることも珍しくありません。ですから野外コンサートでは、そうならないように祈っていたのですが…。

午後8時10分。開演5分前になると、既に着席しているベルリン・フィルの団員とお客さんによるウェーブが始まりました。私は2001年にプラシド・ドミンゴが指揮をした際に初めて、このコンサートを見たのですが、そのときにも行われていました。ですから今や、すっかり恒例のものとなっているのでしょう。団員の人たちが立ち上がる様子は、とてもユーモラスです。だって、フィルハーモニーでの通常の演奏会では絶対に見ることができない光景ですから!

プログラム前半の曲が終わりに近づいた頃、空に何やら怪しげな入道雲がたちこめ始めました。そして、休憩に入るやいなや雨が降り出してしまったのです。「ああ、やっぱりか」と会場にいる誰もが思ったことでしょう。しかしお客さんも準備は万端で、客席は一面、カラブルな傘と雨具で埋め尽くされました。これはこれで視覚的には飽きない光景ですが、音楽を聴く上で最悪な環境であることは言うまでもありません。

後半の曲が始まってからは一時、雨の勢いは衰えたものの、コンサートの終了間際には再び強く降り始めました。ですから演奏中にも関わらず、傘を開閉する音、雨具を着脱する音が、そこかしこでゴソゴソゴソと聞こえました。このコンサートもいずれ、テレビ放映やDVD販売が行われるのでしょうが、どのような出来栄えになっているのか是非とも見てみたいものです。

こうして、とても楽しみにしていた8年ぶりの野外コンサートは残念な結果に終わってしまいました。もしかしたらベルリンには今、世界中の雨男が集結しているのかも。近々ベルリンへいらっしゃる予定のある方は、傘の用意をお忘れなく!

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2009.06.21 (Sun)

ランチ・コンサート

6月16日にフィルハーモニーのホワイエにて、2008/09年シーズン最後のランチ・コンサートが開かれました。いつも不思議に思うのですが、このコンサートは平日の午後1時から始まるのにも関わらず、会場は大入り満員。客層は年金生活者が主体というわけではなく、老若男女が入り混じっています。私も人のことを、とやかく言える立場ではありませんが、本当に信じられないくらい暇人が多いです(この人たち、一体どうやって生活しているのでしょうか?)。

今回はベルリン・フィルのチェロ奏者、ディートマール・シュヴァルケによるリサイタルでした。曲目は以下のとおり。


シューマン:アダージョとアレグロ 作品70
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番イ長調 作品69
シューマン:幻想小曲集 作品73-1(アンコール)


こうしたプログラミングと彼の(高貴的とも言える)演奏ぶりから、ある一人の音楽家のことが私の脳裏に浮かんでいました。フランスの名チェリスト、ピエール・フルニエ(1906-1986)です。「チェロのプリンス」と称されたフルニエはコンサート等で度々ベートーヴェンのソナタを取り上げ、また好んでシューマンの曲をレコーディングしておりました。私は、そういったフルニエのCDを常日頃から愛聴しておりましたので、どことなく類似性を感じたのです。

コンサート後、会場で配布されたプログラムに目を通したのですが、シュヴァルケの経歴欄に次のような記載がありました。

Durch Kurse bei Pierre Fournier ergaenzte er seine Ausbildung.
(彼はピエール・フルニエの下でワークショップを受講し、自らのチェロ教育を実り豊かなものにしたのである。)


彼はやはりフルニエの下でもチェロを学んでいたのです。彼が、とりわけフルニエの影響を強く受けていることは間違いないように思います。それにしても、ベルリン・フィルの奏者による名演を無料で聴けるランチ・コンサートは本当に素晴らしいです。ベルリン・フィルさん、本当にありがとうございます!

(参考資料)
Jung, Helge, 16.Juni 2009, Phiharmonische programmhefte,
Herausgegeben von der Berliner Philharmonie GmbH fuer die Stiftung Berliner Philharmoniker, 2.

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2009.06.18 (Thu)

フルトヴェングラー・フォーラム

6月17日に、フィルハーモニーでフルトヴェングラーに関するフォーラムが開催されました。今月初旬から、フィルハーモニーのチケット売場のところにポスターが貼り出されていたのです。しかも、そのポスターには私の愛してやまないフルトヴェングラーの姿が!!!更によく見てみると、つい最近発売されたフルトヴェングラーのCD(RIAS-Berlinによって録音されたもの)に関する内容であることがわかりました。これはどうしても行かなければ、と思いました。また、「ひょっとしたら色々なフルトヴェングラーのCDが聴けるかも」、などと勝手な想像をしつつ、張り切って会場に足を運びました。ところが…。

会場では音楽を聴くための設備が整えられてはいたのですが、内容はほとんどが主催者とゲストによるおしゃべり。時々、年配のお客さんが、それに長々と口をさしはさむ有様。それにしても、よくしゃべること!まさに機関銃のごとし。ドイツ人の議論好きは有名ですが、何もこの場でそうしなくてもいいのに。期待していたフルトヴェングラーのCDは、ベートーヴェンの「運命」交響曲から、ほんの一部分が紹介されただけ。また、(おそらくは比較のためかと思うのですが)フルトヴェングラーとは全く関係のない、クナッパーツブッシュやチェリビダッケの演奏が流されたりしていました。私は「な、何やコレ〜」という、狐につままれたような気持ちでした。

そうこうするうちに、フォーラムは特に何事もなく終了。ああ、この1時間半はいったい何だったのか!仕方が無いので、私はフルトヴェングラーのポスターだけでも手に入れようと思い立ちました。そして、会場の係の人にお願いして何とか譲ってもらい、トボトボと家路についたのであります(さ、寂しー)。


教訓:勝手な思い込みは、後になってとんだ結果を招くというお話でした。

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